「病院から葬儀社を紹介されたけれど、そのまま依頼しないといけないの?」
家族が病院で亡くなると、短時間のうちにご遺体の搬送先や葬儀社を決める必要があります。
その際、病院から提携している葬儀社や、出入りしている葬儀社を案内されることがあります。
突然のことで気持ちの整理がつかないまま、「病院に紹介されたのだから断れないのでは」と考え、そのまま葬儀まで依頼してしまう方も少なくありません。
しかし、病院から紹介された葬儀社は、基本的には選択肢のひとつです。紹介を受けたからといって、必ずその葬儀社へ葬儀を依頼しなければならないわけではありません。
この記事では、病院で紹介された葬儀社を断ってもよいのか、搬送だけ依頼する場合の注意点、葬儀社を変更するときに確認すべきことを分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 病院紹介の葬儀社を断ってもよいのか
- 病院から早く搬送を求められる理由
- 搬送だけ依頼するときの注意点
- 葬儀社を変更するときにかかる可能性がある費用
- 後悔しない葬儀社の選び方
病院で紹介された葬儀社は断っても大丈夫?
病院から紹介された葬儀社であっても、納得できなければ断ることは可能です。
病院は、ご遺体の搬送や安置を速やかに進められるよう、対応可能な葬儀社を案内することがあります。
ただし、病院が葬儀社を紹介したからといって、その葬儀社と葬儀の契約を結ぶ義務が生じるわけではありません。
すでに依頼したい葬儀社が決まっている場合は、病院へ次のように伝えましょう。
「依頼する葬儀社は決まっていますので、こちらから連絡します」
まだ葬儀社を決めていない場合も、紹介されたその場ですぐに葬儀契約まで決める必要はありません。
ただし、病院内で長時間ご遺体を安置できないことが多いため、搬送先については早めに決める必要があります。

なぜ病院では早く葬儀社を決める必要があるの?
多くの病院には、ご遺体を一時的に安置する霊安室があります。
しかし、霊安室の数には限りがあり、長期間利用することを前提とした施設ではありません。
そのため、死亡診断書の発行や家族のお別れが済んだ後、病院から自宅や葬儀社の安置施設などへ搬送するよう案内されます。
この段階で必要なのは、主に次の2点です。
- ご遺体を搬送する葬儀社
- 搬送後の安置場所
葬儀の日程や祭壇、料理、返礼品など、葬儀全体の内容をその場ですべて決める必要はありません。
時間がない場合は、まず搬送と安置だけを依頼し、葬儀の契約は見積もりを確認してから判断する方法もあります。
紹介された葬儀社に搬送だけ頼んでもいい?
葬儀社によっては、病院から安置場所までの搬送だけを依頼できる場合があります。
ただし、搬送だけを依頼するつもりでも、申込書や契約書の内容によっては、安置や葬儀プランまで契約した扱いになる可能性があります。
依頼する前に、次のようにはっきり伝えましょう。
「今回は病院から安置場所までの搬送だけをお願いします。葬儀については家族で相談してから決めます」
あわせて、次の項目を確認することが大切です。
- 搬送だけの依頼が可能か
- 搬送料金はいくらか
- 距離による追加料金があるか
- 深夜・早朝料金がかかるか
- 搬送先の安置料はいくらか
- 別の葬儀社へ移動できるか
- 葬儀を依頼しない場合に追加費用があるか
口頭での説明だけではなく、料金と依頼内容が記載された書面を受け取りましょう。
病院紹介の葬儀社に依頼するメリット
病院から紹介された葬儀社を利用することが、必ずしも悪いわけではありません。
状況によっては、次のようなメリットがあります。
すぐに搬送へ来てもらいやすい
病院と日頃から連携している葬儀社であれば、病院の場所や搬送手順を把握していることがあります。
深夜や早朝でも対応してもらえる可能性があり、搬送先を急いで決めたい場合には安心です。
何をすればよいか案内してもらえる
家族が亡くなった直後は、死亡診断書、火葬許可、安置、葬儀の日程など、分からないことが数多くあります。
経験のある葬儀社であれば、今後必要になる手続きや準備を案内してもらえます。
自分で葬儀社を探す負担を減らせる
事前に葬儀社を決めていなかった場合、短時間で複数の会社を調べることは大きな負担になります。
紹介された葬儀社の料金や対応に納得できるのであれば、そのまま依頼することも選択肢のひとつです。
病院紹介の葬儀社にすぐ依頼するデメリット
ほかの葬儀社と比較できない
紹介された1社だけで決めると、その料金が地域の相場と比べて高いのか安いのか判断しにくくなります。
同じ家族葬や一日葬でも、基本プランに含まれる内容や追加料金は葬儀社によって異なります。
気持ちが混乱した状態で契約してしまう
家族が亡くなった直後は、冷静に契約内容を確認することが難しい状態です。
説明を十分に理解しないまま、祭壇や棺、料理、返礼品などを決めてしまう可能性があります。
想定より費用が高くなることがある
広告や口頭で聞いた基本料金が安くても、式場使用料、火葬料金、安置料、ドライアイス、搬送費などが別料金の場合があります。
国民生活センターには、広告に掲載された料金より契約額が高くなった、十分な説明がないまま追加費用が発生したといった相談が寄せられています。
契約前には、必ず見積書を受け取り、プランに含まれる内容と追加料金を確認しましょう。
病院紹介の葬儀社を断るときの伝え方
断る際に、詳しい理由を説明する必要はありません。
すでに依頼先が決まっている場合は、次のように伝えれば問題ありません。
依頼先が決まっている場合
「家族で決めている葬儀社がありますので、そちらへ連絡します。ご紹介ありがとうございます」
まだ比較したい場合は、次のように伝えましょう。
ほかの葬儀社も比較したい場合
「葬儀については家族で相談してから決めます。紹介先とは今の段階では契約しません」
搬送だけ必要な場合は、契約範囲を明確に伝えます。
搬送だけ頼みたい場合
「病院から安置場所までの搬送だけお願いします。葬儀については別途検討します」
すでに搬送を依頼した後でも葬儀社を変更できる?
搬送を依頼した後でも、葬儀の契約前であれば、別の葬儀社を検討できる場合があります。
ただし、すでに次のサービスを利用している場合は、その分の料金が発生する可能性があります。
- 病院から安置施設までの搬送費
- 安置施設の使用料
- ドライアイス代
- 棺や衛生処置の費用
- スタッフの対応費
- 別の安置施設へ移す搬送費
また、すでに正式な葬儀契約を結んでいる場合は、キャンセル料が発生することがあります。
変更を検討するときは、現在の葬儀社へ次の点を確認しましょう。
- 現在どこまで契約が成立しているか
- すでに発生している費用はいくらか
- キャンセル料はいくらか
- ご遺体を別の安置施設へ移せるか
- 移動可能な日時と手続き
契約書や申込書を確認し、分からない点があれば書面で説明を求めましょう。
葬儀社を変更するときの注意点
安置場所を先に確保する
現在の葬儀社からご遺体を移動する場合は、次の葬儀社の安置施設や自宅など、移動先を先に決める必要があります。
新しく依頼する葬儀社へ、現在の安置場所と移動希望日を伝え、対応可能か確認しましょう。
現在の費用を精算する
葬儀を依頼しない場合でも、すでに利用した搬送、安置、ドライアイスなどの料金は支払いが必要になる可能性があります。
請求された場合は、何にいくらかかったのか、明細を出してもらいましょう。
二重契約にならないようにする
新しい葬儀社へ依頼する前に、現在の葬儀社との契約状況を確認することが重要です。
双方に同じ内容を依頼してしまうと、キャンセル料や準備費用が重複する可能性があります。
病院で紹介された葬儀社を選ぶ前の確認項目
紹介された葬儀社へ依頼するか迷ったら、最低限、次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 搬送料 | 距離・回数・深夜早朝料金 |
| 安置料 | 1日あたりの料金とプランに含まれる日数 |
| ドライアイス | 何日分が含まれているか |
| 葬儀プラン | 祭壇・棺・骨壺などの内容 |
| 式場使用料 | 見積もりに含まれているか |
| 火葬料金 | 市民料金・市外料金、見積もりへの記載 |
| 追加料金 | どのような場合に発生するか |
| キャンセル料 | 契約後に変更した場合の条件 |
「全部でいくらですか」と聞くだけではなく、見積書以外に支払う可能性がある費用はありますかと質問することが大切です。

葬儀社は何社くらい比較すればいい?
時間に余裕があれば、2〜3社程度の見積もりを比較すると、それぞれの料金やサービス内容の違いが分かりやすくなります。
比較するときは、葬儀社ごとに同じ条件を伝えましょう。
- 希望する葬儀形式
- 参列予定人数
- 葬儀を行いたい地域
- 希望する式場や火葬場
- 宗教・宗派
- 料理や返礼品の有無
- おおよその予算
条件が違う見積もりを比べても、どちらが本当に安いのか判断できません。
基本料金ではなく、必要な内容をすべて含めた総額を比較しましょう。
紹介された葬儀社へ即決する前に
葬儀費用は、地域、葬儀形式、安置日数、参列人数などによって異なります。病院から紹介された葬儀社だけで決めず、希望する内容と費用を確認しておくと安心です。
家族葬や一日葬など、希望に合う葬儀プランを確認できます。
葬儀社とのトラブルを防ぐポイント
1人で打ち合わせをしない
可能であれば、葬儀社との打ち合わせには家族や親族と一緒に参加しましょう。
複数人で説明を聞くことで、契約内容の聞き漏らしや、不要なオプションの追加を防ぎやすくなります。
見積書の内訳を確認する
見積書に「葬儀費用一式」などの記載しかない場合は、具体的な明細を出してもらいましょう。
特に、火葬料、式場料、安置料、搬送費、料理、返礼品が含まれているか確認します。
その場で決める必要がない項目は保留する
祭壇、棺、骨壺、料理などは、すぐに決めなくてもよい場合があります。
高額な商品を勧められて迷ったときは、差額と必要性を確認し、家族で相談してから決めましょう。
契約書と見積書を保管する
契約書、見積書、請求書、パンフレット、葬儀社とのメッセージなどは保管しておきましょう。
後から説明と請求内容が違っていた場合、相談するときの資料になります。

葬儀社とのトラブルはどこへ相談する?
葬儀社へ確認しても解決しない場合は、地域の消費生活センターへ相談できます。
相談先が分からない場合は、消費者ホットライン「188」へ電話すると、最寄りの消費生活相談窓口につながります。
相談する際は、次の資料を用意しておきましょう。
- 見積書
- 契約書・申込書
- 請求書
- 広告やパンフレット
- 葬儀社とのメールやメッセージ
- 説明を受けた日時や内容のメモ
よくある質問
病院紹介の葬儀社を断ると病院に迷惑がかかりますか?
自分で選んだ葬儀社へ依頼すること自体は、病院へ迷惑をかける行為ではありません。
依頼先が決まったら、葬儀社名と迎えに来る予定時間を病院へ伝えましょう。
葬儀社が決まっていなくても病院を出なければなりませんか?
病院の霊安室は長期安置を目的とした施設ではないため、一定時間内に搬送先を決めるよう求められることがあります。
葬儀内容まで決められない場合は、搬送と安置だけ対応してもらえる葬儀社を探しましょう。
搬送を頼んだら葬儀も依頼しないといけませんか?
搬送だけの依頼が可能かどうかは、葬儀社や契約内容によって異なります。
依頼前に「搬送だけ」と明確に伝え、申込書にも葬儀契約が含まれていないか確認しましょう。
搬送後に別の葬儀社へ変更できますか?
変更できる場合がありますが、すでに利用した搬送費、安置料、ドライアイス代などは請求される可能性があります。
正式な葬儀契約後はキャンセル料が発生することもあるため、契約書を確認してください。
病院紹介の葬儀社は料金が高いですか?
病院から紹介されたという理由だけで、必ず料金が高いとは限りません。
重要なのは、紹介経路ではなく、見積もりの総額、プラン内容、追加料金、担当者の対応を確認することです。
まとめ|紹介された葬儀社へその場で即決する必要はない
病院から葬儀社を紹介されても、必ずその葬儀社へ葬儀を依頼しなければならないわけではありません。
すでに依頼先が決まっている場合は、自分で選んだ葬儀社へ連絡して問題ありません。
まだ葬儀社を決めていない場合は、次の点を意識しましょう。
- 紹介されたその場で葬儀契約まで即決しない
- 急ぐ場合は搬送と安置だけを相談する
- 搬送だけの依頼であることを書面でも確認する
- 見積書と追加料金の条件を確認する
- 可能であれば2〜3社を比較する
- 基本料金ではなく最終総額を見る
大切なのは、病院から紹介されたかどうかではなく、費用やサービス内容に家族が納得できるかどうかです。
突然のことで気持ちが混乱しているときほど、葬儀の契約範囲と支払い総額を確認し、不明な点を残さないようにしましょう。
参考資料


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